最近話題のPower Automateとは

Power AutomateとはMicrosoft社の自動化ツール。2019年10月4日に発表されました。

他社のRPAツールと比べるとかなり後発にはなりますが、直感的な操作性や、クラウドネイティブ、ローコードプラットフォームを備え、システム開発の専門家でなくても利用しやすいサービスとなっています。

ファイルの同期、通知の受信、データ収集などを行うことが出来、Microsoft社製品を含む様々なアプリケーションと連携してタスクの自動化を実現します。

Microsoft社はPower Platformと呼ぶアプリケーション群を提供しており、業務分析を行うPower BI、アプリケーション開発を行うPower Apps、ボットを構築するPower Virtual Agents、そして自動化を行うPower Automateを利用し、業務アプリケーションの構築を容易に行えるようになっています。

その中の一つ、Power Automateをご紹介します。

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自動化というもの

最近ではRPAのキーワードが盛り上がりを見せていますが、今の作業をこんな風に自動化できれば楽なのに・・・という欲求は、ごく自然なことだと思います。そもそも人間の作業を「効率よく早く行いたい」という欲求から生まれたのがコンピューターなので当然です。

少々昔話をしますが、古くはJCLといった汎用機用の自動実行の仕組みや、今でもWindowsの検索でcmd.exeとすれば使えるMS-DOSの後継のコマンドプロンプトでは.BATファイルを作って自動処理を行うことが出来ます。現在では、スマートフォンですら自動実行できるアプリを提供しています。 こういった形で、自動化への飽くなき欲求はコンピューター誕生の時から始まっており、いろいろなテクノロジーを活用しながら、どんどん進化していると言えるでしょう。

Microsoftの自動化

Microsoft社と言えば、Excel、Word、PowerPointの三種の神器を始めとする、Office製品が直ぐに思いつくかと思います。

更に、これらの製品に加え、SharePointというファイル共有や情報共有のアプリケーション。Teamsというチャットやテレビ会議とを備えた、チーム間コミュニケーション用のアプリケーション。OneDriveというオンラインストレージ。時代のニーズに合わせた形で、様々なツールが用意されてきました。

蛇足ですが、これらの製品は総称としてOffice365という名称が付いていましたが、今ではMicrosoft365と名前を変えています。これの理由として、「お客様が従来Officeだと思っていた以上の事を提供していく」、といった思いがあるようです。 このように職場環境で利用するアプリケーションが多様化し、それを利用した様々なワークフローが増えてきました。Excelで作成したものを、OneDriveに保存して、それをTeamsに投稿して、上長にメールでお知らせして、確認と承認をもらって・・・というようなワークフロー。多少手順が違っても、どこの企業でもある業務の流れではないでしょうか。

一つ一つの作業自体は、これらのアプリケーションにより、手作業で行うより遥かに楽になっていると思いますが、これらを個々に使うとなると、煩雑になることは否めません。その解決策として、このワークフローを自動化出来ればもっと楽になるのでは、をMicrosoftが実現しました。

改めてRPA

さて、最近も勢いが増しているRPAですが、昔から自動化のニーズはあったのに、何故また今なのでしょうか。考えられる理由としては、以下のものがあると思っています。

  • 少子高齢化による人手不足の解消
  • 働き方改革による生産性向上
  • 手軽にRPA化できるツールの進化

ITらしからぬ理由も入っていますが、業務の自動化という点では、実際にそれを行う人手が重要になってきます。少し前に団塊世代の退職問題があったかと思いますが、特にシステム利用に長けた人や、経験値の高い人が居なくなるのは、システム運用に大きな影響を与えます。その部分をロボット化出来れば、属人化の問題や人手不足が解消できます。

次に、最近のコロナ禍で拍車が掛かっている働き方改革。この記事を在宅勤務で読まれている方も多いのではないでしょうか。

在宅勤務にしたいけど、「会社に行かなければシステムが使えない」「上司が会社にいなければ承認が降りない」と言った部分を解決する必要があります。これらの業務を見直し、ロボットが肩代わり出来るケースは多々あります。また、生産性向上は最も得意とするところで、今まで人手を使った作業が単純であればあるほど、ロボット化の効果が高くなります。

そして、これらを実現するための、RPA化ツールの進化と台頭が同時に行われ、どうしてもシステム化が出来ずに手作業で行っていた部分が、手軽にロボット化できるようになりました。様々な実例も増え、色々なところで目に付くようになり認知度が上がってきました。その結果「これは便利だ!」「これなら我が社でも出来るのでは?」と、人手不足や生産性向上の急先鋒として、一気に注目を浴びました。

MicrosoftのRPA

あれ?さっきの自動化と話が違うの?と思われた方はきっちり読んで下さりありがとうございます。

RPAと自動化、きっちり定義化された区別というのはないのですが、自動化を取り組むにあたり、少々知識の必要な部分があります。

まず、RPAはRobotic Process Automationということで、ロボットによるプロセスの自動化です。ソフトウェアロボット(ボット)と呼ばれるものが、ユーザーの操作を肩代わりして操作し、また事業プロセス(タスク等)を自動化する。同じ自動化となっていますが、単にアプリケーションだけでなく事業プロセスも自動化することが、ポイントとなっています。

対して自動化ですが、RPAも自動化の一種で間違いはないのですが、Power Automateによる自動化とは、アプリケーションのAPIと呼ばれる連携用の仕様を利用した自動化が主な機能となっています。こちらはRDP(Robotic Desktop Automation)と呼ばれることもあり、RPAと区別されるケースもあります。前述しましたOffice製品との自動化は、RDPに近いものとなります。

じゃあ、Power AutomateでRPAは使えないの?ということになりますが、ご安心ください。別途RPA機能として実装されており、RDP同様に利用できます。RPA機能も使いやすいようにと配慮がされており、RDPを作成するのと同じ感覚で利用できます。大きな特徴としては、RDPで作成したものとRPAで作成したもの、この連携が違和感なく実現されており、Power Automateの利用シーンの幅を広くしています。

Microsoft Power Automate

RPAを含めた自動化ツールとしてはリリースされたばかりなので、まだ未対応の部分もあり、利用するには少々コツが必要な状態です。

しかし、RPA機能の強化策として、この5月にWinAutomationという代表的なRPAツールを展開していた、Softomotiveを買収し、Power AutomateとWinAutomationの連携が早速可能になるなど、サービス強化に力を入れていることが伺えます。

Microsoft社製品との親和性は特に高く、操作性が統一されており、最初の敷居が低く使いやすくなっています。そして、PowerシリーズというMicrosoft社が考える業務アプリケーションコンセプトを強く感じることが出来、今後の進化が非常に楽しみなサービスだと思います。

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