手軽に自動化できる世界へ―Microsoft Power Automateとは【前編】

コロナ禍によってビジネス環境は一変し、従来の仕組みを柔軟に変化させることが求められている。同時にこれまで一部の専門家だけしか扱えないと考えられていたRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などのテクノロジーも、身近なものへと急速に変化しつつある。

「RPAは一部の人だけでなく、多くの人に開かれた技術であるべき」。そう話すのは、日本マイクロソフト株式会社 ビジネスアプリケーション事業本部 プロダクトマーケティング マネージャーの平井亜咲美氏だ。平井氏は、RPAの機能を持つ「Microsoft Power Automate」をはじめとする、Microsoft Power Platform製品の日本におけるマーケティング全般を担当している。

Microsoft Power Automateが開発された背景や具体的な特徴について、平井氏に話を聞いた。前編となる本稿では、Microsoft Power Automateの独自性やマイクロソフトが目指す世界について紹介する。

目次

「Microsoft Power Automate」は、信頼性の高い基盤の上に構築されている

平井亜咲美氏(日本マイクロソフト株式会社 ビジネスアプリケーション事業本部 プロダクトマーケティング マネージャー)

−働き方の変化によってビジネスのデジタル化が加速し、RPAなどのテクノロジーが注目を集めています。このことについてどのようにお考えですか。

コロナの影響で、企業はこれまで手をつけられないでいた細かな業務もデジタル化しなければならないと考え始めました。しかしそのために必要な人材を集めようと思っても、現場の需要と供給できる人材の数には大きなギャップがあります。私はこのギャップを埋めるには「ローコード開発」が必要だと考えています。

「ローコード開発」は、高度な専門知識を持たなくても、アプリケーションやネットサービス、システムをスピーディーに開発できる点が特徴です。米調査会社のガートナーは、2024年までには半数以上のアプリケーションがローコード開発に変わると予測しており、エンジニアではない開発者、いわゆる「シチズンデベロッパー(市民開発者)」が増加すると考えられています。

これからの時代、企業のIT部門はセキュリティの確保やルール作りといった業務に専念し、事業部門にある程度の権限を持たせて業務自動化を後押ししていかなければ、世の中が変化するスピードについていけなくなるのではないでしょうか。そしてこういったことを可能にするのが、ITスキルのハードルを下げた総合的なローコードプラットフォームだと考えています。

−事業部門で業務を自動化する場合によく指摘されるのが、セキュリティやコンプライアンスの問題です。

マイクロソフトの製品が他社製品と決定的に違うのは、セキュリティやコンプライアンスといったことが、全ての前提としてあらかじめ組み込まれている点です。「Microsoft Power Automate」ももちろんその前提の上に成り立っており、クラウド上に出しづらいビジネスデータなどの機密情報であっても、安心してやり取りを行うことができます。

また、全てのアプリケーションがマイクロソフトのプラットフォーム上にあることで、同じスキームで管理することができ、プラットフォーム上のデータを集約しやすく、新たなことに活用できる点も大きな特徴です。

日々の身近な業務の自動化に適した「Microsoft Power Automate」

Microsoft Power Automateは、信頼性の高い環境下で日々の細かな業務を自動化できる

−「Microsoft Power Automate」は、あらかじめ用意された信頼性の高い基盤の上で動作する点で、他のRPA製品と異なるのですね。ほかにはどのような点が違うのでしょうか。

これまでは担当者の負荷が非常に高い業務でも、投資対効果が低いと判断されると自動化対象から外される場合がありました。Power Automateは、そういった小さな業務を自動化するのに非常に適しています。Power Automateは誰にでも分かりやすく、市民開発者でも使えるようになっています。そのため、結果的に導入のハードルが下がり、今まで投資対効果に見合わないと考えられていた業務の自動化にも対応できるのです。

投資対効果に見合わないと考えられていた業務の自動化に対応できる

また、API同士の連携やMicrosoft 365製品同士の連携を、追加料金なしで行っていただける点もポイントです。何千種類にも及ぶテンプレートがあらかじめ用意されているため、日々の身近な業務を簡単に自動化することができます。

具体的には「添付ファイル付きのメールを受信したらOneDriveに保存し、Teamsで通知を送る」といった一連の作業を自動化することが可能です。また、「SharePointに特定のファイルを置くと上司に承認依頼のメールが送られ、承認が済んだら承認済みのフォルダに保存される」といった実装もできます。こういったMicrosoft 365製品間の連携はクリックベースで簡単に行うことができ、追加費用もかかりません。

しかし簡単とは言っても複雑な業務を自動化する場合には、ある程度のスキルが必要になるのも事実です。その場合はパートナーである日商エレクトロニクス社が提供している、トレーニングプランやハンズオンの利用を勧めています。マイクロソフトでも「Microsoft Learn」というオンライン講座を用意していますので、そういったものをうまく活用しながら、多くの方に使えるようになっていただきたいですね。

−セキュリティや管理面における機能的な特徴があれば教えていただけますか。

何といっても、クラウドで一元管理できるところが大きな特徴です。Power Automateは別途管理用のサーバーを立てる必要がなく、セキュリティや管理に必要な機能は標準で搭載されています。

Power Automateには400以上のコネクタ(他社製品を含むサービス連携用のAPI)が存在するのですが、管理者はクラウド上の管理ポータルから制限するコネクタを指定することができます。利用できるコネクタを制限することで、機密情報の漏洩を防ぐことが可能です。また、管理者側で未承認のフローや、使われなくなったフローを削除することもでき、こうした特徴によって自動化におけるリスクを下げられるようになっています。

さらに管理面での効率を上げるためには、「Microsoft Power Platform Center of Excellence(CoE)スターターキット」という、管理者向けのベストプラクティスを用意しています。CoEスターターキットでは、アプリケーションやフローを作成する際の承認プロセスなどが、テンプレートとしてあらかじめ準備されています。グローバルな成功例を凝縮した設定がすぐに使えるようになっているのですが、ある程度のスキルが必要にはなりますので、個別の状況に合わせて外部の専門家にチューニングしていただくと、スピーディーに利用できるかと思います。

−現場における業務の自動化がうまくいくかどうかは、適切なガバナンスが効いているかどうかが重要だと言われます。この点に関してはいかがでしょうか。

ローコード開発を行う場合、ガバナンスの部分は非常に重要です。しかしどのような体制でどのようなルールを適用させるかを決めるのは、プロジェクトの全体像が掴めていなければ簡単ではありません。どうしてもトライアンドエラーで何度も見直しを行い、予定していなかった多くの工程が発生しがちです。

こういったところを豊富な知見を持つ専門家にサポートいただくと、導入がスムーズになるのではないでしょうか。Power Automateはローコード開発ができるツールですが、必要なところは外部の専門家の力を借りるなど柔軟な対応をしていただくことで、導入時の労力を最小限に抑えられると考えています。パートナーである日商エレクトロニクス社とは、Power Automate導入支援サービスをパッケージにして、企業に一緒にご提案しています。

あらゆる個人と組織が、手軽に業務を自動化できる世界を目指す

「RPAは『一部の人だけでなく多くの人に開かれた技術であるべき』」と強調する平井氏

−最後にマイクロソフトが目指す世界ついてお聞かせください。

マイクロソフトが目指しているのは「全ての個人と全ての組織がより多くのことを達成できる」世界です。Power Automateは、テクノロジーのハードルを下げ、全ての人にとって使いやすいように設計されています。

これまでは事業部門で日々の業務を自動化しようとしても、セキュリティやガバナンスの問題があり、頓挫してしまうことが少なくなかったと思います。こうした状況を踏まえた上でRPAという技術を民主化する必要がある、というのがマイクロソフトの考え方であり、その考えを体現しているのがPower Automateという製品です。

Power Automateを使って身の回りの小さな業務を手軽に自動化できるようになることが、我々の目指す世界を実現するための第一歩だと考えています。ビジネスにおいてテクノロジーの活用が必須となる中で、RPAは一部の特別な人だけではなく、多くの人に開かれた技術であるべきです。

IT部門としては、セキュリティやガバナンスの面から事業部門に開発を任せるのをためらってしまう場合もあるかもしれませんが、そういった不安を解消する管理面での機能も多数備えています。ぜひ勇気を持ってユーザーの皆さんにこの技術を解放していってほしい。そう願っています。

出典元:RPABANK(https://rpa-bank.com/

手軽に自動化できる世界へ―Microsoft Power Automateとは【後編】」を読む

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※おまけ

MS平井様と日商エレ西尾

日商エレでMicrosoft製品担当の西尾です。本記事は、日商エレ企画・RPAバンクさん監修のもと、弊社本社で平井様にインタビューを行いました。インタビューは、緊急事態宣言が出る前に実施できたので、よかったです。
Microsoft Power Automateに関するご質問やご相談ございましたら、お気軽にご連絡ください。
✉ ms-dl-sales@nissho-ele.co.jp

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