手軽に自動化できる世界へ―Microsoft Power Automateとは【後編】

数多くのRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)製品がひしめく中、RPA機能を持ち合わせたMicrosoft製品として注目を集めている「Microsoft Power Automate」(以下Power Automate)。信頼性の高い基盤の上に構築されている点や、日々の身近な業務の自動化に適している点などについて前編で触れた。

後編となる本稿では、Power Automateの機能的な特徴や事例について紹介する。話を聞いたのは、前編同様、日本マイクロソフト株式会社 ビジネスアプリケーション事業本部 プロダクトマーケティング マネージャーの平井亜咲美氏だ。平井氏は、Power Automateをはじめとする、Microsoft Power Platform製品の日本におけるマーケティング全般を担当している。

目次

進化のスピードや400以上のコネクタによるAPI連携が特徴

−前回のお話で、Power Automateは信頼性の高さや身近な業務の自動化に適しているといった特徴があると伺いました。どのような経緯で開発されたのか教えていただけますでしょうか。

Power Automateは、もともとは「Microsoft Flow」という、クリックベースでアプリケーション同士を連携させ、自動化を行う製品でした。この「Microsoft Flow」が2019年11月にPower Automateという形でリブランドされ、RPA機能を搭載していくことが発表されたのです。

RPA機能は2020年4月に一般公開され、2020年5月にはRPAベンダーであるSoftomotive社を買収し、RPAツール「WinAutomation」がPower Automateに取り込まれました。

最近の大きなニュースとしては、「Power Automate Desktop」が2020年12月上旬にリリースされたことが挙げられます。「Power Automate Desktop」は、「WinAutomation」をベースにして開発されたクラウドネイティブのRPA機能です。デスクトップ上の作業とSaaSシステム間が、API連携で非常にシームレスにつながるようになっています。

ほかにも「Process Advisor」というプロセスマイニングの機能が追加されるなど、非常に速いスピードでRPA機能が進化しているのが特徴です。

−短期間で次々と新しいことができるようになっているのですね。Power Automateの機能的な強みについて教えてください。

Power Automateは、API連携による自動化が強みです。400以上のコネクタが用意されているため、API連携に不慣れな方でもクリック操作のみでほかの製品と連携し、自動化することが可能です。

また、AIの機能がクリック操作のみで実装できる点も大きなポイントです。「AI Builder」には、あらかじめAIモデルが複数用意されており、AIにサンプルデータを学習させるだけで実装するところまでが行えるようになっています。

−事業部門の担当者でも、API連携機能やAI機能が使えるのですね。これまでは無理だと諦めていたことも実現できそうな可能性を感じます。

Power Automateは、ローコード開発ができる製品であり、使う人の技術的なハードルがそれほど高くないところがポイントです。これまで投資対効果が望めないと見なされ、自動化の対象から外されてきたような細かな業務をPower Automateで自動化していきましょう、というのが我々がお伝えしたいことです。こういった業務を現場レベルで自動化することは、なかなか進まないと言われている日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)前進のきっかけにもなるのではないでしょうか。

日常の細かな業務だけでなく、基幹システム周りの自動化もスムーズ

−Power Automateを使って業務を自動化した事例について、ご紹介いただけますでしょうか。

従来利用していた他社のRPA製品に加え、Power Automateを社内の課題を解決するために新たに採用された、出光興産株式会社(東京都千代田区)の事例(Microsoft社サイトへ移動)をご紹介します。

出光興産様では、事業部門から上がってくる要望を、RPAを管轄しているIT部門で精査し、コストなどの基準に照らし合わせて自動化するかどうかを判断しています。自動化の際にはまず業務を標準化しなければなりませんが、業務によってはこのフェーズに非常にコストがかかってしまうという課題がありました。現場が望んでいるような細かな業務の自動化はコストに見合わず実現できないが、本当は現場に寄り添ってサポートしたいというギャップに悩まれていたのです。

複数のクラウドベースの製品を比較検討され、最終的にOffice製品やMicrosoft製品との親和性が高い、Power Automateを採用いただきました。少人数で対応している毎日のちょっとした業務が手軽に自動化できるようになり、現場の担当者に好評だと聞いています。

また、Power Automateは現場の細かな業務の自動化だけでなく、SAPなどの基幹システム周りのデータの参照や抽出、登録の自動化も簡単に行うことができます。まずは現場からの要望が多いSAP関連業務の自動化から着手し、今後のさらなる生産性向上を目指して全社展開もご検討いただいています。

−日常の細かな業務だけでなく、基幹システム周りのデータも自動化できるとは、汎用性が高いですね。

Power Automateであれば、基幹システムのかゆいところに手が届くような自動化が実現できます。ローコストでカスタマイズできるところが特徴であり、実際に自動化している様子のデモンストレーションを、パートナーである日商エレクトロニクス社と一緒に開催しているセミナーでご覧いただけますので、興味のある方は参加してみてください。

進化し続けるPower Automateを「まずは触ってみてほしい」

−驚異的なスピードで変化を遂げているPower Automateですが、これからも進化を続けていくのでしょうか。

Power Automateは、マイクロソフトが非常に注力している製品です。これまでさまざまな進化を遂げてきましたが、今後の半年間で(Business Applications領域全体で)480以上の機能アップデートを予定しています。引き続き他を圧倒するスピード感で機能を追加していきますので、ご期待いただければと思います。

−これからPower Automateを使ってみたいと考えている方に向けて、アドバイスをお願いします。

まずは実際に手を動かしていただきたいですね。既にMicrosoft 365をご契約いただいていればどなたでもお使いいただけますし、無料トライアルも利用可能です。

初めての方は、ぜひテンプレートから触ってみてください。数千種類にも及ぶテンプレートにはトリガーからアクションまで一連のプロセスが組み込まれており、まずはテンプレートを使って身近な業務を自動化するところから始めていただければと思います。基本の動作さえ習得できればRPAを1つのアクションのように使えるため、操作の容易性を実感していただけると考えています。

今後は実際に学んでいただける機会をさらに増やしていく予定です。2021年から基礎知識が学べるコンテンツもオンライン講座として出していきます。既にあるリソースや、このインタビューを企画いただいた日商エレクトロニクス社や他のパートナー企業が提供しているコンテンツやトレーニングを活用いただき、まずは一歩踏み出してみてください。

Power Automateはこれまで無理だと諦めていたことを可能にし、ユーザーの皆さんが日々の業務を手軽に自動化できる世界を実現します。マイクロソフトが掲げる「全ての個人と全ての組織がより多くのことを達成できる世界」に向けて、一緒に進んでいきましょう。

出典元:RPABANK(https://rpa-bank.com/

手軽に自動化できる世界へ―Microsoft Power Automateとは【前編】」を読む

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※おまけ

MS平井様と日商エレ西尾

日商エレでMicrosoft製品担当の西尾です。本記事は、日商エレ企画・RPAバンクさん監修のもと、弊社本社で平井様にインタビューを行いました。インタビューは、緊急事態宣言が出る前に実施できたので、よかったです。
Microsoft Power Automateに関するご質問やご相談ございましたら、お気軽にご連絡ください。
✉ ms-dl-sales@nissho-ele.co.jp

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