日商エレクトロニクス標準BPアセットの使い方(1) – 概要編

こんにちは、RPAコンサルタントの鈴木です。これから何記事かに分けて、日商エレがBlue Prism Digital Exchange(BPDX)で無償公開している「日商エレクトロニクス標準BPアセット」について紹介をしていく予定です。第一回は「そもそも日商エレクトロニクス標準BPアセットって?」という内容になります。あと、名前が長いのでこの記事内では「NEアセット」と呼ぶことにします。(NEはNissho Electronicsの略です)

NEアセットのダウンロードはこちらから!(外部サイトにジャンプ) > https://digitalexchange.blueprism.com/dx/entry/83455/solution/bp

NEアセットに含まれるもの

「アセット」という言葉は日本語では「資産」とかいう意味で、BPDXではBPで作られたプロセス・オブジェクトや他製品とのコネクタなどが全てまとめて「アセット」と呼ばれています。なので「NEアセット」と言うだけでは何が含まれているか分かりにくいのですが、NEアセットには大きく分けて以下の3種類が含まれています。

1.製作済オブジェクト

ユーザーの環境に依存しないため、Blue Prismにインポートすればそのまま利用できるオブジェクトのセットです。
コレクションや文字列、Excelの操作など、Blue Prismインストーラー付属のVBOでは手が届かない部分を補完するものが多数を占めます。

2.オブジェクトテンプレート

自社の環境や用途に合わせた新規オブジェクトを作成する際、必要な処理の作成例などを予め組み込んだテンプレートです。

3.プロセステンプレート

プロセスを新規作成する際、開発者の違いで成果物の品質が変わらないよう、作成ルールやベストプラクティスなどを予め組み込んだテンプレートです。作成ルールはユーザー環境によって大きく異なることが予想されるため、利用前にユーザーご自身でカスタマイズできるよう、環境依存部分を極力排し、該当箇所にコメントを付与した形としています。基本的な考え方はBlue Prism標準のプロセステンプレートに沿っており、日商エレの経験を踏まえた拡張・カスタムを行ったものです。

※既に自社のテンプレートが定まっており不要な場合は、製作済オブジェクトのみをインポートして利用できます。

NEアセットの使い始め方

BPDXにログインし、右上の「Link to Asset」を押します。 (注意:BPDXはIEだと閲覧できない模様なので、ChromeかFirefoxをお使いください)

②ダウンロードページに飛ぶので、最新のNEアセット(zipファイル)をダウンロードします。

③ダウンロードしたzipファイルを解凍します。

zipに含まれる内容(バージョン1.0.7時点)

④「フルパッケージ.bpreleare」をBlue Prismにインポートします。

※テンプレートが不要で、製作済みオブジェクトのみをインポートしたい場合は「汎用オブジェクトパッケージ.bprelease」を使ってください。

フルパッケージ(バージョン1.0.7時点)でインポートされるオブジェクト

⑤後は「内容リスト」「概要説明書」の内容を参考に、実際の開発で活用していただくだけです!

NEアセットを使うにあたって

特に重要な注意事項を記載しておきます。細かい話は付属の説明書にも記載してありますので参考にしてください。また、アセット内容それぞれの使い方については今後の記事で詳しく紹介していく予定です。

① NEアセットを編集する場合は、別名保存してください。

NEアセットは日商エレでも実際に使用しているため、必要に応じて機能追加をすることが多くあります。またもちろん不具合修正が入る場合もあります。これはBPインストーラー付属の公式オブジェクトでも同じことですが、もしそのまま編集をしてしまうと最新版インポート時に編集内容が消えてしまいますので、編集前に別名保存をお勧めします。

BPのプロセス・オブジェクトはスタジオのツリー上ではコピーできないので、複製するには一度開いて「名前を付けて保存」する必要がありあます。
② NEアセットのテンプレートの一部は、環境ごとのカスタマイズが必要です。

NEアセットは汎用的に作られているため、開発プロジェクトに応じて(特にITインフラ環境に応じて)カスタマイズが必要な箇所があります。例えば、プロジェクトのメール送信処理を共通化するための「メール送信オブジェクトテンプレート」では、以下のようにSMTPサーバ/SMTPポートを設定する環境変数が配置してあります。

「NET_」で始まる環境変数はテンプレート用のサンプル環境変数です。利用する前に、そのプロジェクトで利用している環境変数に変更するとよいでしょう。

※カスタマイズが必要なのは「プロセステンプレート」「オブジェクトテンプレート」のみです。製作済みの(テンプレートではない)オブジェクトについてはカスタマイズの必要はありません。

※カスタマイズにあたっても、注意事項①の観点から別名で保存後に編集をお勧めします。

日商エレがNEアセットを無償公開した理由

最後に、日商エレがNEアセットを無償公開した理由を紹介して、第一回を終わりたいと思います。NEアセットは日商エレが実際にBlue Prism開発で使用しているもので、これを無償で公開して良いのかという点には当然議論がありました。それでも無償公開に踏み切ったのには、日本のBlue Prism開発がもっとオープンになり、開発手法の共有が進んでほしいという気持ちがあります。

日商エレは自社のRPA化プロジェクトのかたわら、多数のお客様に対してもBlue Prismの開発支援をさせていただいています。そこで感じるのは、どこの環境でも結局のところプロセスやオブジェクトの作り方や、必要なオブジェクト(システム画面の操作オブジェクトは除く)には大差が無いということです。もちろん日商エレが導入の初期から支援した場合にはNEアセットを使うことになるのですが、一度BPを導入してある程度ロボットを作成したあと、弊社に支援の依頼をいただくケースも多くあります。このような場合には大抵、お客様独自に作成されたテンプレートや共通部品を目にすることになりますが、独自に作られているため仕様も品質も様々です。独自に作ったオブジェクトなどにはもちろんインターネット上のノウハウもありませんので、手直しして使うにしても、作り直すにしても、大きな手間がかかります。

一方、BPDXに大抵の汎用的なオブジェクトは用意されており、新規ユーザーはそれを使うだけでよいという状況が出来上がるとどうでしょう。さすがにユーザーごとに多少のカスタムは必要になるでしょうが、平均的な品質は大きく向上するのではないでしょうか。現状のNEアセットだけでそれが達成できるとは思っていませんが、日本のエンジニアの間にアセットを共有する文化が広がっていけば、不可能な未来ではないはずです。また日商エレの社内RPA化を考えても、他のユーザーの開発事例を知り、取り入れていくことは非常に重要です。NEアセットを先駆けとして、日商エレ以外にもアセットの公開を決断するユーザーが現れてくれることを願っています。

この記事をシェアする

前の記事

はじめての Blue Prism (2) ワークキュー アイテムの追加と取得

次の記事

実体験から語るRPAのツール選定と運用の極意【イベントレポート】